Konboi Note

YAPC::Fukuoka 2025 に参加してきた!

· Konboi

ブログを書くまでが YPAC なので!

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はじめに

11月14,15日に福岡で開催された YAPC::Fukuoka 2025 に昨年2月の YAPC::Hiroshima ぶりに参加してきました。

今回もプロポーザルを出していたんですが、残念ながら採択されず…

それでも参加するとやっぱり楽しくて聞いたトークはもちろん、前職の同僚などお久しぶりの人との思い出話にも花が咲きました。

いやぁ〜、オフラインのカンファレンスはやっぱりいいですな〜

トークの感想

で、以下聞いたトークと感想。

HTTP Message Signatures ― HTTPクライアントの身の証を立てる

普段は RFC とかを追ったりはしないが、せっかくカンファレンス来たのでと思って聞いてみた。
元々は Mastdon の ActivityPub などの不特定からリクエストを受けるエンドポイントで認証をするための仕様らしい。

少し前に話題なっていたこのあたりでも使われている技術とのこと https://blog.cloudflare.com/introducing-pay-per-crawl/

実装する側からすると今まで Mastdon の実装を参考にしてたものがきちんと仕様になったので助かる。
ただドラフトから正式採択のタイミングで互換性がなくなった。というのが一番ウケたポイントだった。

「正規表現をつくる」をつくる

元々気になっていたトークだったけど、前日のDELTAさんの非公式 前夜祭で発表者の方が以前自分のリポジトリに PR を送ってくれた人だったのでいっそう聞くモチベーションが上がったw

正規表現の修復処理という概念(?)を初めて知った。
正規表現を作るいくつかのユースケースを上げながら、正規表現の難しさを提示してくれたトークだった。

ミスると ReDos とかに繋がってしまうので難しい

今回の発表の具体的な実装は途中とのことだったが、どれぐらいの計算リソースで修復できるんだろう?ローカルでサクッと動かせるものなのだろうか? 質問でも出てたけど、そこら辺が気になった。

なぜインフラコードのモジュール化は難しいのか - アプリケーションコードとの本質的な違いから考える

自分の担当プロジェクトでも、共通化されたインフラリソースの中で一部のリソースにのみだけ変更を入れたい場合があり、その際面倒だった経験があるので気になっていたトピックだった。

モチベーション -> 具体例 -> 解決案という全体のトークの順序もさることながら”難しさ”も種類ごとに丁寧に言語化されていてスッと入ってきて非常にわかりやすい発表だった。

紹介されていた事例をもとに手元のコードをどするか考えたい。

Amazon ECSデプロイツールecspressoの開発を支える「正しい抽象化」の探求

同トラックで引き続き設計の話。

作った時の責任の境界線(?)の引き方は偶然だったけれどそれが結果的に良かった、とのこと。

発表を聞いて変わっていくもの/進化していくもの (今回は Amazon ECS) に対してどう依存するか、一方ツールとしてユーザーに対してどういうインターフェースを提供するのかを考えていくのは難しいなと。

AWS Copilot CLI の例を見ても公式ですらそれを踏まえて設計/実装していくのは難しい。自分たちが提供しているツールも Easy 側にふった結果、後々色々と問題が出てきたので他人事ではないなと。
ただ、どう境界線を切るかこそが作る側の力量なのかもとも思ったり。

その時はベストだと思う設計も機能開発とともに陳腐化していくから正解はないんだろうけど、色々と選択肢は持っておきたいな。

なぜThrottleではなくDebounceだったのか? 700並列リクエストと戦うサーバーサイド実装のすべて

上司 (@yoshiori) の発表。

「紹介するね」とは聞いてたけど、まさかあんな感じで紹介されるとは思っていなかったw

発表の内容は、あったねーって感じで当時のこと思い出しながら聞いてた。

お疲れさまでした。

「バイブス静的解析」でレガシーコードを分析・改善しよう

AI を使ってコードを書くことはあっても、いらないコードを消すっていう発想はなかったので自分のプロジェクトでも試してみたいと思った。

発表内容は技術的なのに、なぜか聞いてると笑ってしまう流石のhitode節だった

Agentに至る道 〜なぜLLMは自動でコードを書けるようになったのか〜

前職の同僚まこぴーの発表
元同僚とか抜きにしてベストトーク賞として選んだ。

前半はコーディングエージェントの実装に繋がる論文の紹介をフムフムと聞きながら、後半は Perl でコーディングエージェントを書くのを見ていた。

シンプルな実装とはいえ、そこまで大きくないコードベースでエージェントが出来ていく様子をなるほど?!と眺めてた。

仕事で AI なプロダクトをやってない?的な話だったけど、自分で興味持った内容に論文からあたってこういう場で実装して見せる姿勢に尊敬。見習わなくては。

旧から新へ: 大規模ウェブクローラのPerlからGoへの置き換え

古い技術スタックからモダンな技術スタックへの移行の参考になる発表だった。

発表の内容とはズレるけど、「はてなラボ」の仕組み(?)がいいなと思った。
個人単位で見るからサービスレベルは落ちてしまうかもだけど、ある程度ユーザーがいて技術を試せる場所があるってのはいいなぁ。

Perl の生きのこり

自分は2010年ごろから Perl をさわり始めたので、成り立ちというかどういう流れがあったのかを昔話的に知れ流ことができた。

そして最近?の Perl は言語自体ではなく Perl の機能を使って新しい文法を実装しているのが、いかにも Perl らしいなと発表聞きながら思った。

読む技術・書く技術・伝える技術 - 15年続けて分かった持続可能なオープンソース開発

アウトプットではなくアウトカムを目指してやっている。それも戦略的に。とのことだけど…。

それで15年続けているのは、本当にすごい…。

自分はできないわ…と思ったけど、趣味のランニングは続いていてフルマラソンも走るぐらいだから、続けられる仕組み作りが重要なのかもなと。

発表では曜日のプレッシャーにならないよう、記事数が設定した数になったら公開すると言っていた。
年末になるので、来年のことも見据えてこの辺ちょっと考えたいな。

ステートレスなLLMでステートフルなAI agentを作る

キャラクター AI 開発の裏側の話。
リアルタイムなやり取りが求められる中で、どうやって会話の精度を上げていくか。

プロダクトの性質は違うけど自分も OpenAI API を使ったプロダクトの調整を少し前にしていたので、うんうん、わかるわかると頷きながら聞いていた。

自分も以前に pgvector 周りの調査したけど、vector column 単体だったら何も問題なく index 作成できるけど、 vector column + α (e.g. user_id) な vector column を含んだmulti column index を作りたい時は partitioning しないといけないっぽくてユースケース的に断念した。
(サブクエリにするとどうかかまでは試さなかった)

廊下(?)トーク

セッションの合間や懇親会では、前職の同僚たちと「最近どう?」といった話で盛り上がりつつ、久々の再会を楽しんだ。

そしてもう1つ大きかったこととして、2日目の懇親会の会場で gfx さんとお話できたこと。

gfx さんのトークではプロダクト寄りの話が中心だったが、懇親会では「実際に個人でどう AI を使ってコードを書いているのか」というパーソナルな話も伺うことができた。
というのも最近、gfx さんが OSS のsqldefのパーサー部分を AI を使ってゴリっと書き直している(いた?)のを Bluesky 上で観測していてどう実現していたのか非常に気になっていた。

gfx さん曰くなんで他の人より上手く使えるのかは正直言葉にできていないとのことだった。が、最初は雑なプロンプトで何が上手くいかないのかを観察する。既存のコードが手を入れづらい状況なら先にリファクタリングして、改めて AI にやらせてみる。など非常に有益な Tips を聴くことができた。

また、自分が「AI にコードを書かせることでコードを書く楽しみが減っている気がするんですよね」と相談したら、
gfx さんは「確かに書く作業自体は減るかもだけど AI を使いこなすことで今までできなかったことができるし、AI に上手くやらせること自体も新しいスキルだよ」とおっしゃってくれて、その言葉にハッとした。

そんな気づきを得たのも、今回の参加して得た大きな収穫の1つだった。

個人スポンサーは推し活

会期中に「個人スポンサーなんですか、すごいですね!」と言わることが何回かあったのですが、自分としてはそんな大それたことをしているつもりはなくて。

個人的には登壇者の方々と直接話せたり、質問できたり、SNS や GitHub で「すごいな」と思っていたハッカーにリアルで会える。
これって、好きなアイドルやグループに会いにいくのと個人的にはあんまり違いがないと思っている。推しのファンクラブに入るような感覚で YAPC::Japan みたいな素敵なイベントが今後も続いていって欲しいと思う気持ちの延長。

考えてみるとこれって推し活だなと思った次第。
(まとまっているようで微妙にまとまってないけど、それも含めてそういう気持ちでやってるだけですよというw)

さいごに

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今回の YAPC::Fukuoka も本当に楽しくて、クロージングの時に"来年は10年ぶりに東京ビックサイトで"って発表された時は、なんでか分からないけど少しうるっときたw

それと同時に、来年こそは発表できるように面白いチャレンジしてこう、リベンジだ..!!! とモチベーションがググっと上がった。

最後に改めて、素晴らしいカンファレンスを運営してくださったスタッフの皆さん本当にありがとうございました!